借りれる条件と借りられない人の違いは何?【生活福祉資金貸付制度】

生活福祉資金貸付制度について

生活福祉資金貸付制度とは、所得が低いために銀行や消費者金融のカードローンやフリーローンを利用できない人に対して、生活を支援する資金などを貸し付ける公的な制度です。この生活福祉資金貸付制度の大きな特徴として、無利子であったり、あるいはかなり低い利子でお金を借りることができます。

 

この制度を所管しているのは厚生労働省ですが、実際の窓口は都道府県や市区町村の社会福祉協議会となっていて、市役所などの庁舎内に事務所があります。

 

この制度の概要に併せて、借りれる条件や借りられない場合などについてご説明していきます。

 

無利子・低利子の公的貸付制度

生活福祉資金貸付制度には大きく分けて4種類の資金があり、資金ごとに用途が決まっています。それぞれの資金の貸付上限額と利子についてみていきましょう。

 

まず1つ目は「総合支援資金」です。

 

これには

  1. 生活を再建するまでの生活費に充てる「生活支援費」
  2. 住宅を借りるための敷金や礼金等といった入居の初期費用に充てる「住宅入居費」
  3. 就職等に必要な技能習得のための費用や債務整理に必要な費用等に充てる「一時生活再建費」

があります。

 

@の生活支援費の貸付額は

  • 2人以上世帯で月20万円以内
  • 1人世帯で15万円以内

 

Aの住宅入居費は40万円以内

 

Bの一時生活再建費は60万円以内です。

 

これらの資金は全て連帯保証人がいれば無利子、連帯保証人がいない場合は年1.5%の利息がつきます。

 

2つ目は「福祉資金」です。

 

これには

  1. 傷病の療養や介護を受けるための費用や療養中の生活費等に充てる「福祉費」
  2. 災害等で臨時に必要になる費用に充てる「緊急小口資金」

があります。

 

@福祉費の貸付額は580万円以内

 

A緊急小口資金は10万円以内です。

 

@福祉費は連帯保証人がいれば無利子、連帯保証人がいない場合は年1.5%の利息が付きますが、A緊急小口資金は無利子です。

 

3つ目は「教育支援資金」です。

これには

  1. 低所得世帯の子どもが高校や大学に通うための費用に充てる「教育支援費」
  2. 低所得世帯の子どもが高校や大学に入学するための費用に充てる「就学支援費」

があります。

 

@教育支援費の貸付額は月3.5万円から6.5万円まで、A就学支援費は50万円以内です。これらは連帯保証人の有無にかかわらず無利子です。

 

最後の4つ目は「不動産担保型生活資金」です。

 

これは自宅を担保として貸付を受けるもので、

  1. 低所得の高齢者世帯の生活費に充てる「不動産担保型生活資金」
  2. 生活保護を受給する高齢者世帯の生活費に充てる「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」

があります。

 

これらの貸付額は土地評価額の70%程度の額となっており、金利は年3%又は長期プライムレートのいずれか低い方の利率となります。

 

不動産担保型生活資金は他の資金と違って必ず利子が付くことになり、最大で3%の利子がつきます。しかし、実際の長期プライムレートをみてみると1%前後を推移していて、3%よりもかなり低い水準であることがわかります。

 

上記に挙げた貸付額は、貸付限度の上限額となります。借りれる条件をクリアすれば、必ず上限額を借りられるということではありません。

 

例えば、失業して生活支援費を借りる場合、1人世帯であれば月15万円まで借りられることになっていますが、実際に借り受ける金額は失業前の給料に基づいて適正な金額を相談しながら決定していくことになります。なお、この生活支援費は最長12か月まで借りることができますが、就職が決まった時点で打ち切られます。ただし、就職した月は勤務日数等の関係で給料が少ない場合もあるため、実際には就職した翌月までは資金を借り受けることができます。

 

生活福祉資金貸付制度の金利は、無利子あるいは最大で年3%であることがわかりました。カードローンは高い利率が設定されていることもありますが、生活福祉資金貸付制度でお金を借りられれば、連帯保証人がいればほとんどの資金が無利子で借りることができます。

 

特に、災害等の緊急時に必要となる緊急小口資金や、子どもの教育に関わる教育支援資金に至っては、連帯保証人がいなくても無利子になります。ただし、教育支援資金は進学する本人が借受人になり、保護者など世帯内の者が連帯借受人となる必要があります。

 

なお、連帯保証人は原則として同じ都道府県内に住んでいて、生計が別(同じ家計で生活していないこと)になっている人である必要があります。

 

生活福祉資金貸付制度を利用できる人・できない人の違い

生活福祉資金貸付制度を利用して資金を借りれる条件についてみていきます。

 

  1. 資金を借りれる条件の1つ目は、低所得世帯であることです。

     

    所得が少ないと判断される基準は、おおまかにいうと市町村民税が非課税になる程度といえます。しかし、実際には貸付を行う社会福祉協議会ごとに設定している基準が異なるため、お住まいの社会福祉協議会の基準を調べる必要があります。

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    なお、東京都社会福祉協議会では、月額収入の平均が基準以下(1人世帯約19万円、2人世帯約27万円、3人世帯約33万円など)である場合などとなっています。

     

  3. 2つ目の条件は高齢者世帯であることです。

    主に、65歳以上の高齢者がいる世帯をいいます。

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  5. そして3つ目の条件は障害者世帯であることです。

    身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を持つ人がいる世帯をいいます。

 

では逆に生活福祉資金貸付制度を利用できない人はどのような人なのでしょうか。審査に通らないのは次のような場合です。

 

  1. 銀行や消費者金融のカードローンなど他の貸付制度を利用できる人は貸付を受けられません。

     

    生活福祉資金貸付制度はカードローンなどと比べて金利が低いことが大きな特徴ですが、単に「金利が低いから生活福祉資金貸付制度でお金を借りたい」ということはできません。

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  3. 複数の借金を抱えた多重債務者である人も貸付を受けることは難しいでしょう。

     

    銀行や消費者金融のカードローンやフリーローンをすでにいくつも借りている場合は、生活福祉資金貸付制度を利用することは難しいと考えられます。

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  5. 収入がない人や、収入があっても非常に少ない人も貸付を受けることは難しいでしょう。

     

    生活福祉資金貸付制度は生活保護や失業保険のような給付型の資金ではなく、貸付型の資金です。つまり、もらえるお金ではなく、将来返していかなければいけないお金であるということです。したがって、借りたお金を返済できる見込みがあるかどうかについても、申請者の所得等を考慮しながら審査されることになります。

     

    前述のとおり、所得の多い少ないの判断は社会福祉協議会ごとに基準が異なります。お住まいの都道府県あるいは市区町村の社会福祉協議会のウェブサイトにも生活福祉資金貸付制度に関する案内がありますし、分からないことがあれば社会福祉協議会に直接問い合わせるなどして確認してみてください。

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  7. また、生活保護や失業給付をすでに受給している人も、基本的には生活福祉資金貸付制度による貸付を受けることは難しくなっています。

     

    ただし、生活保護を受給している高齢者世帯が借りれる条件となっている「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」というものがありました。生活福祉資金貸付制度のうち、この資金以外の資金は原則として生活保護を受給している場合は貸し付けすることはできないとする社会福祉協議会が多くあります。

     

    しかし、一方で申請者の事情を考慮して貸し付けすることができるとしているケースもあり、東京都社会福祉協議会は、生活保護費では対応できないような用途に資金が必要になった場合には、福祉事務所の許可を得たうえで貸し付けることは可能であるとしています。

     

    このように申請者の実態を考慮した対応ができる場合もありますが、生活福祉資金貸付制度というのは、もともと生活保護は受けられないけど生活が苦しいという世帯を想定した制度となっているため、必ずしも貸付が受けられるというわけではありません。

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  9. そして、住宅を確保できていなかったり、住宅を確保できる見込みがない場合も生活福祉資金貸付制度を利用することが難しいと考えられます。

     

    住宅を確保できていない場合は「生活困窮者住宅確保給付金」という制度を利用するなどして、まずは住宅を確保してから貸付を申請してみてください。

 

生活福祉資金貸付制度の申し込み方法

生活福祉資金貸付制度はどのように申し込めばよいのでしょうか。

 

実は資金の種類によって少し手続きが違うので、それぞれご説明していきます。

 

総合支援資金と緊急小口資金を借りようとする場合、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業を利用することが借りれる条件となっています(ただし、すでに就職の見込みがある人は除きます。)。この自立相談支援事業というのは、生活が苦しい人が生活を再建していけるように相談員が支援してくれる事業で、その人に合わせた支援プランを策定してもらうことができます。

 

総合支援資金等を借りる場合は、まずは自立相談支援事業の窓口となる都道府県あるいは市区町村の社会福祉協議会か、役所の福祉課に相談にいきます。もし地域の民生委員や児童委員がわかればその人に相談することもできます。

 

そして、市区町村の社会福祉協議会へ申請書類等を提出して借り入れの申し込みを行います。その後、内容確認を経た申請書類等は都道府県の社会福祉協議会へ送付され、そこで貸付の審査、決定が行われます。

 

審査の結果は「貸付決定通知書」又は「不承認通知書」という形で申込者に通知されます。もし貸付が可能であれば「借用書」を都道府県の社会福祉協議会に提出し、借用書が受領されれば貸付金が実際に交付されることになります。

 

次に、上記以外の資金である福祉費や教育支援資金、不動産担保型生活資金の手続きについてみていきます。

 

これらの資金を借りようとする場合は、自立相談支援事業を利用する必要は必ずしもありませんので、市区町村の社会福祉協議会へまず相談に行きます。ただ、この場合も地域の民生委員や児童委員に相談して社会福祉協議会などにつないでもらうこともできます。

 

そして、市区町村の社会福祉協議会に申請書類等を提出します。それ以降の手続きは総合支援資金等と同じ流れになり、申請書類等は都道府県の社会福祉協議会に送付されて審査、決定がなされ、申込者のもとに「貸付決定通知書」または「不承認通知書」が届きます。

 

もし貸付が可能であれば、都道府県の社会福祉協議会に「借用書」を提出し、借用書が受理されれば貸付金が実際に交付されることになります。

 

つまり、総合支援資金や緊急小口資金を借りようとする場合は自立相談支援事業を利用することが借りれる条件となっているため、どの資金を借りるかを決めたら、その資金の種類をみて最初にどこに相談しに行けばよいか確認してください。

 

では、生活福祉資金貸付制度を利用して借り入れを申し込むにはどのような書類が必要になるのでしょうか。

 

必要となる書類の主なものとしては、

  1. 住民票など世帯の状況がわかる書類
  2. 運転免許証など借受人の本人確認書類
  3. 給与明細、源泉徴収票、通帳のコピーなど
  4. 税金の納付がわかる書類
  5. 連帯保証人の給与明細、源泉徴収票、通帳のコピーなど
  6. 債務状況がわかる書類

などが挙げられます。

 

これら以外にも、例えば教育支援費を借りようとする場合は在学証明書、住宅入居費を借りようとする場合は住宅の賃貸借契約書などが必要になる場合があります。資金の種類や借受人の状況によって借りれる条件も異なるため、申し込みに必要となる書類もそれぞれ異なってきます。

 

実際には、社会福祉協議会へ相談しに行くと必要となる書類について説明がありますので、その指示に従って書類を準備してください。

 

また、気になるのは「申し込んでからどのくらいで実際に資金が振り込まれるのか」という点ではないでしょうか。災害等で緊急的に必要となる緊急小口資金の場合は、1週間から2週間程度で振り込まれます。一方、そのほかの資金の場合は、通常1か月から2か月程度は時間を要することがあります。

 

まとめ

銀行や消費者金融のカードローンが利用できない場合は、生活福祉資金貸付制度の利用を検討してみましょう。生活福祉資金貸付制度は、厚生労働省が所管する公的な貸付制度です。銀行や消費者金融では受けることができないメリットがあります。

 

お金を借りると必ず付いてまわるのが利息です。当初に借りた金額に上乗せして支払わなければいけないのが利息ですから、できるだけ利息は少なく済ませたいところです。生活福祉資金貸付制度は、カードローンとは違って無利子あるいはかなり低い利率でお金を借りることができるため、負担となる利息を少なく抑えることができます。

 

お金が足りずに苦労しているときには、負担はできるだけ減らしたいものです。利息を抑えられるのも公的な貸付制度ならではのメリットといえます。

 

また、返済期間がカードローンなどに比べるとかなり長めに設定されていることもポイントです。生活費に充てることができる総合支援資金では返済期間は10年となっていますし、病気やケガ、介護などの費用に充てられる福祉費や、教育資金に充てられる教育支援資金では返済期間が20年とかなり長期に設定されています。

 

カードローンなどでは返済期限が早くて返済が厳しいと思う人でも、生活福祉資金貸付制度を利用すれば、無理なく計画的に返済していくことができるようになります。

 

ちなみに、緊急小口資金の返済期間は12か月となっていてほかの資金に比べると短く感じますが、緊急小口資金の貸付上限額は10万円以内となっているので、数万円を1年かけて返済することもできるため、あまり大きな負担は感じないでしょう。

 

なお、返済期間内に返済ができない場合は延滞金が発生します。残っている元金に対して1.75%の延滞利子がついてしまい、その分上乗せして支払わなければならなくなりますので、返済期間内に完済できるよう計画的に返済していきましょう。

 

生活福祉資金貸付制度は厚生労働省が所管する公的な制度ですが、生活保護のような給付制度ではなく、あくまで貸付制度です。生活保護であれば振り込まれたお金は返済する必要はありませんが、生活福祉資金貸付制度を利用して振り込まれたお金は、あくまで借りているものであるため、将来的に返済していく必要があります。

 

このため、すでに複数のカードローンなどから借り入れがある多重債務者となっている人や、収入が少なくて返済が難しいと思われる人は利用できない可能性があります。しかし、生活福祉資金貸付制度が利用できなかったとしても、市区町村の福祉課や社会福祉協議会に相談してみることで、債務整理の相談会や、この貸付制度以外に利用できそうな他の制度を紹介してもらえる場合があります。

 

また、公的な貸付制度であることによるメリットを享受できることも事実ですが、一方で公的な貸付制度であるからこそ縛られるところもあります。

 

生活福祉資金貸付制度には様々な資金の種類があり、それぞれに定められた用途や借りれる条件が設定されています。

 

例えば、住宅入居費なら住宅を借りるときに必要な敷金や礼金といった費用に充てることが用途として決められていますし、教育支援資金なら子どもが高校や大学に通ったり入学したりするための費用に充てることが用途として決められています。

 

しかし、これらの資金を単なる生活費に充ててしまうなど、決められた用途とは違う目的で資金を使ってしまった場合は、返還を求められますので注意が必要です。借りれる条件と資金の用途を厳密に決めることで、利息や返済期間などの面でメリットを受けられることを忘れないようにしましょう。